千葉大学大学院医学研究院先端応用外科学-食道胃腸外科・乳腺甲状腺外科・移植外科-Department of frontier surgery,Graduate school of medicine, Chiba University
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診療のご案内-大腸疾患-

 大腸癌

 1990 年代に入り、本邦で大腸疾患の手術に腹腔鏡手術が応用されるようになり、千葉大学食道胃腸外科でも 1999 年より大腸癌に対し腹腔鏡手術の適応を開始しました。

 腹腔鏡による大腸癌の平均手術時間は 204.9 分、平均出血量は 61.5ml で、術後平均在院日数は 13.4 日です (表1) 。腹腔鏡手術の手術時間は開腹手術と同等ですが、出血量および在院日数が少ないのが特徴です。これは、手術の影響が少なく、早期の社会復帰が可能であることを意味します。しかし、腹腔鏡手術の最大の魅力は手術による腹部の傷が小さいことです。通常、大腸の開腹手術では腹部を 25 〜 30 cm切開しますが、腹腔鏡手術であれば 4 cm程度の傷一ヵ所と1 cm 程度の傷を数ヵ所切開すれば手術を行うことができます (図1) 。

 腹腔鏡手術は外科手術 400 年の歴史の中で一番大きな革新と言われています。今後、腹部手術の多くは開腹手術から腹腔鏡手術へ移っていくと考えられます。

 ところで、腹腔鏡手術は開腹手術とは異なり、手術野観察にスコープを用います。腹腔内臓器の詳細を観察することには向いていますが、スコープの視野は狭く、腹腔内全体を把握することは困難です。また、手術操作は長い鉗子を使用します、開腹手術のように直接臓器に触れることはできず、触覚に乏しいという問題点があります。手術中に対象臓器を的確に判断し危険の少ない手術を行うためには、術前に、正確な解剖を把握することが必要です。そこで、千葉大学食道胃腸外科ではマルチヘリカル CT を使用した正確な3次元画像を腹腔鏡手術に応用しています (図 2) 。

 新しい術式で、腹腔鏡手術による医療事故のニュースを耳にすることもありますが、千葉大学食道胃腸外科では 1999 年の腹腔鏡手術開始以来、命にかかわる合併症の発生はありません。千葉大学食道胃腸外科では、危険の少ないメリットの多い腹腔鏡手術を提供できると考えております。

S状結腸癌に対する腹腔鏡下大腸切除術の実際
S状結腸間膜右側を切開し、腸管膜の血管を最初に処理する。
S状結腸左側の腹膜を切開し、テープを腫瘍の肛門側の大腸背側に通し、
腸間膜ごと肛門側大腸を結紮する。
テープを牽引することにより、腫瘍部に触れることなく手術を行える。
自動縫合器によるDouble Stapling Techniqueにて吻合を行う。

表1.腹腔鏡手術の結果
平均手術時間 204.09分 平均平熱化日数 4.0日
平均出血量 61.5ml 平均術後在院日数 13.04日
第一病日平均白血球数 8581.8/mm3 平均リンパ節郭清数 18.91個

図1. S状結腸癌の手術の開腹創
開腹手術の傷 腹腔鏡手術の傷

図2. 3DCTを用いた体表からの臓器の位置の把握と腫瘍の栄養血管の確認